昨日、テアトル新宿にて、ついに初日を迎えることができました。
期待と不安の入り交じった気持ちで劇場に近づくと、
看板の前にも、モニターの前にもたくさんの人。
階段には、お客様の行列。
「残り席、わずかとなっております!」
「ここから、お立ち見となります、ご了承ください!」の声。
ロビーには、所狭しと貼られた三留さんの「闘争の軌跡」写真展に
見入っているお客様たちの姿が。
場内のスクリーンには、60年代の日大と東大闘争の記録映像が流れています。
60年代当時、連合赤軍の若者たちと同世代として過ごしたであろう方、
当時をまったく知らないであろう若い世代の方、
さまざまな世代のお客様で、劇場内はあふれかえっていました。
3時間10分という長時間にもかかわらず、20名以上の方たちが
立ち見で作品を見てくださいました。
長時間、お疲れになられたことと思います。
申し訳ありませんでした。
そして、ありがとうございました。
この日、各回上映終了後に予定されていた舞台挨拶のために、
30名近い出演者たちも劇場に駆けつけました。
皆、一様に、緊張と喜びの表情を浮かべていました。
上映終了後、まず若松孝二監督が登壇。
「映画監督の落とし前として、どうしてもこの時代を残したかった」
と語りました。
続いて、役者たちが壇上へ。
左側に「革命左派」右側に「赤軍派」がズラリと並びました。
「この作品に関わったことは、役者としてではなく人間として
大きな意味がありました」
「党派、右だとか左だとか関係なく、人間という存在のすばらしさ、
その弱さ、醜さ、哀しさ、そんな全てがつまった作品です」
「役者は、いろいろな人間の人生を演じる仕事です。
しかし、自分が演じた吉野さんも、被害者も御遺族の人生も
まだ、今も続いています」
「自分が演じた大槻さんの視線を、今も自分の中に感じています。
今の自分に、どう生きるんだと問いかけ続けています」
「自分は、他の出演者より年齢が高く、高校生としてあの時代を過ごし、
本棚にはサルトル全集が当たり前のように並び、あの空気を感じていた。
その自分にとって、今の自分の仕事、生き方が、これでいいのかと
問いなおされているような映画でした」
役者一人一人が、自分の言葉で、この作品への思い、
そして、初日を迎えられた喜びを語りました。
会場のお客様からも、さまざまな言葉を頂きました。
「この時代を、真実として描いてくださり、
本当にありがとうございました」と言うなり、涙をこぼされた方。
「森常夫役の方は、あの時代と今の時代、比較して
何が変わり、何が引き継がれていると思いますか」
「永田洋子さん役の方は、どうやって、あのような役作りができたのか」
「若松監督は、なぜ、こんな作品を作ることができたのか。
なぜ、常に、これだけのエネルギーを作品の中に込められるのか」
「あの時代を生きて、運動に携わった者として、
とても丁寧に、事実を描いた、このような作品を作ってくださって、
監督さん、出演者の皆さんに、本当に感謝したい」
「本当は、見るのが非常に辛かった。赤軍派、革命左派のした事について
出演者の方は、今、どのように考えておられるのか」
会場からは、同時代を生きた人や、若い人たちから、
熱く、真剣な思いが、次々と発せられました。
それに対する監督や出演者も
「自分のエネルギーの源は怒りです。そして権力の側からは表現しないことです」
「かさぶたを剥がされるようで、辛いかもしれないが、
やってしまったことはやってしまったこととして、見つめたい」
「連合赤軍の内部で起きたことは、何も特殊な人たちのよる
特殊な出来事ではないと思います。自分もあの場にいたらやっていただろうし、
今の社会の組織において、学校や企業においても、少数意見が抹殺され
人が人の存在を否定するような、同じことは起きているのではないでしょうか」
などと答え、熱気あふれる舞台挨拶となりました。
自分たちが全力でぶつかっていったこの作品の初日、
これだけたくさんのお客様が、劇場に足をお運びくださったこと。
多くのお客様が、涙を拭きながら、スクリーンを見つめてくださっていたこと。
上映後のティーチインで、たくさんの方が挙手をして、
発言しようとしてくださったこと。
出演者、スタッフ一同、本当に感謝しております。
これからも、一人でも多くの方に見て頂けるように頑張ります。
テアトル新宿にて、11時30分、15時20分、19時10分の3回、上映中です。
また、同日に紀伊國屋書店新宿本店で行われました
書籍「実録・連合赤軍」発売記念サイン会にも
たくさんの方に足をお運び頂きましたこと、改めて感謝申し上げます。
同店では、引き続き、若松孝二フェアを開催中です。
ぜひ、お立ち寄りください。