早稲田松竹で二本立て、スタート!
2月5日(土)、早稲田松竹で「実録・連合赤軍」と「キャタピラー」の二本立て上映がスタートしました。2作品で4時間半以上もの長丁場ですが、場内は満席、上映終了後の興奮冷めやらぬまま、若松監督のトークイベントが始まりました。
まず監督は、自身のパレスチナのシャテーラキャンプの大虐殺の経験を語り、「常に女性や子どもの弱者が犠牲になるのが戦争だ」と「正義の戦争も国家のための戦争も、まやかしだ」と話しました。「沖縄の米軍基地問題も、小学生の女の子が3人の米兵にレイプされる事件がきっかけになって、基地問題が大きく取り上げられるようになった。だけど、米軍の一兵士が悪いという問題じゃない。戦争というのは、戦場というのは、それだけ、人間性を破壊するものだということ。日本の特攻隊の若者たちだって、1銭5厘のハガキで召集され、クスリ入りチョコレートを食べさせられて突撃させられた。そういう戦争の実態がある」という監督の話しを受けて、次々と「キャタピラー」や「実録・連合赤軍」の作品について、質問の手が挙がりました。
「寺島さんが、勲章や額縁を倒したシーンで、なぜ、天皇の写真は倒さなかったのか?本当は一番倒したかったのでは?(キャタピラー)」
「高校生です。映画の中で花を食べちゃう人がいましたが、戦時中であれば、ああいう人は村の中でひどいイジメに遭ってしまうのでは(キャタピラー)」
「自分は早稲田の大学生だが、当時、火炎瓶投げて、授業料値上げ反対を叫んでいた人たちが、今や教授になって、僕たちから高い授業料を取って、いい生活をしている。定年になれば、僕らの働いたお金から高い年金をもらうんだろうと思うと、あまりに無責任じゃないかと思うのですが(連合赤軍)」等…。
実にストレートな質問が続きました。
天皇の写真については「僕は何も言ったわけではないが、寺島さんは、やっぱり、そこは考えて演じてくれたんじゃないか。もし、天皇の写真までやってたら、それこそ、右翼が黙ってなくて、大変だったんじゃないかな。僕も、そこまで度胸ないですし(笑)、これが上映できなかったら、それこそ無一文ですから…」と答え、場内の笑いを誘いました。
花を食べていた人物については「昔、戦争に連れて行かれないためには、バカのフリをするか、醤油を飲んで肺病のフリをするかだったんです。あれが、本当の反戦ですよ。なにも、暴力やデモだけが抵抗の方法じゃない。ああいう抵抗の仕方だってあるんです。一人一人が、そういう抵抗の方法を考えればいいと僕は思うんです。思考停止に陥らないことですよ。若い人は、世間にかき回されない方がいいよ」
早稲田の学生からの団塊の世代の教授批判については「先生に、食ってかかったらどうですか。そりゃ、ずるいよ、みんなを煽動し、運動に走らせて、終わったら、さっさと戻ってのうのうとやっている。それこそ、今の学生たちが、糾弾すればいいんじゃないかと思う」と語り、連合赤軍のあまりにむごたらしい総括についての質問に対して「組織を作ると、必ずそうなるんです。権力が生まれると、邪魔な奴は消していこうとするんです。日本でも、相撲協会でも、会社組織でも、世界でも、同じでしょう。うるさい奴は北海道へ飛ばしてしまえ、というのも同じ。人間の欲、権力の欲。ご飯を食べられて楽しく生きられりゃ、それでいいのに、どうしてか、人間の心はそうなってしまう」と、権力と組織の普遍的な形として、総括を語りました。
「実録・連合赤軍」と「キャタピラー」、2つの作品が交錯し、組織と個人、男と女、暴力とエロス、濃密な若松ワールドが展開している早稲田松竹、上映は今週いっぱいです。劇場へぜひ、足をお運び下さい!