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2012年02月 アーカイブ

2012年02月02日

東紀州FCの方たちと再会!

つい先日、シネマサウンドワークスにて
「千年の愉楽」のダビングが終わった。
ロケの舞台となった三重県尾鷲市須賀利は
昭和と変わらぬ佇まいの、静かな集落だ。
この地が積み重ねてきた年月の色合いによって
作品に深みとリアリティが増している。
改めて、ニセモノではない風景の美しさを実感した。
監督が惚れ込んで今回参加して頂いた
奄美民謡の歌い手、中村瑞希さんの唄声とサンシンの音色が
さらなる奥行きを生み出す。

スタジオの大きなスクリーンの映し出された
オリュウが、三好が、半蔵が、達男が、そして彦之助や礼如たちが
なんと人間臭く、愛おしく、息づいていることか……
と、ダビングしながら、何度も言葉を失う。

三重県尾鷲市の須賀利でのロケを
全面的に協力して下さったのが、
東紀州フィルムコミッションの方々。

昨日、都内で行われた三重県の観光イベント会場で
この東紀州のFCの方達との嬉しい再会が待っていた。

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一人一人の顔を見ると、夢のように過ぎ去ったロケでの日々が
鮮やかに脳裡に蘇ってくる。
スタッフもキャストも無我夢中で走り続けた日々を
常に横にいて支え、共にはしり続けてくれた、いわば同志。
本当に、心から感謝。

秋頃の全国公開を予定しているが、
三重県でも色々な形で上映が実現するよう、
共に模索していけたら、と思っている。

さて、2月9日の海燕先行上映会もいよいよカウントダウン!
3月24日からの公開も、前売りチケットの販売が始まっている。

若松孝二、75歳。
その頭脳と情熱から生み出された、新たな荒野の密室劇。
どうぞ、劇場で目撃してください。
お待ちしております。

2012年02月08日

いよいよ明日、テアトル新宿にて!

作品は、劇場で観客と出会った瞬間に完成する。

つまり、明日「海燕ホテル・ブルー」が本当の意味で
完成する瞬間がやってくる。
作品の初日の前夜はいつも眠れない、と若松監督は言う。
何の言い訳もできない瞬間。
作品が作った側の手を離れて、お客さん一人一人のものとなる瞬間だ。

その瞬間を、一人でも多くの方たちと迎えられることを願いつつ…。

船戸与一氏が若松監督による映画化を願い、
そして監督が力を振り絞って実現した、
若松作品史に新たなノイズを生み出した作品です。
この生まれたての作品を、
「三島由紀夫」のクランクアップからわずか3週間後にクランクイン、
怒涛の若松節が炸裂した作品を、ぜひ劇場でご覧下さい。

また、明日9日は、「原発都民投票」のための署名期限の最終日。
原発再稼働について自分の問題として、自分の頭で考え、自分で選択する。
その形の1つとして、動いてきた都民投票の条例を求める署名運動。

明日、テアトル新宿の場内でも
渋谷区、中野区、杉並区、練馬区、世田谷区、国分寺市の署名簿を用意します。
各地区の有権者の方、ぜひご協力をお願いします。

2012年02月13日

テアトル新宿の熱い夜

「プリントのつなぎ間違いじゃないですから・・
 怒らないで最後まで観てください」
若松監督の謙虚で不思議な舞台挨拶に場内から笑いが漏れた。

空気を静かに震わすジム・オルークの独特な音楽で
幕を開けた「海燕ホテル・ブルー」の先行上映会。

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2月9日(木)、平日の夜だというのに
テアトル新宿は「海燕ホテル・ブルー」を一足先に観ようという
お客様の静かな熱気に包まれていた。

ジムのライブ終了後、監督及びキャストによる舞台挨拶が行われた。
壇上に並んだのは、若松組初参加となった女優・片山瞳と
連合赤軍からの常連陣・地曵豪、井浦新、大西信満。
そして観客として観に来ていたキャストの一人、ウダタカキも急遽壇上へ。

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各自、来場してくださったお客様に感謝の気持ちを表しつつも、
上映前ということもあり、詳細を語れないというもどかしさを抱えての
降壇となったようだ。

そのため、作品を観終わったお客様ともう一度向き合いたい!という声が出て
予定外ではあったが、急遽上映後にティーチインを行うことに。
上映終了が23時過ぎていたため、終電の関係で何人かのお客様は劇場を後にしたが
予想を超えて大方のお客様がティーチインにも残ってくださった。

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今度は壇上ではなく、舞台の下、お客様の目の前に
再び並んだ監督とキャストたち。
場内の皆さまに「何かご質問がありましたら」と呼びかけたが
なかなか挙手がない。
一体、この作品を自分の中でどう消化すれば・・・?というような困惑顔と
そして、若松監督が遊び尽くした作品を、ともに遊んだ後のような笑い顔。

「いや〜、ヘンなの撮っちゃった!」
クランクアップ後に、ニコニコ笑いながら監督が口にした通りである。

「月並みですが、撮影中に苦労された点は?」とのお客様からの質問に
待ってましたとばかり、各俳優陣がそれぞれの苦労話を披露。
クランクインした当初、まだ台本すら存在していなかったこと。
日々、あらゆる事が変化していたこと。
「脱ぐ」なんて台本には一言も書かれていなかった自分が、
いきなり全裸で走れと言われたこと。
原作をしっかり読んでいたら、自分の役は原作のどこにもない謎の警官だったこと。

あらゆる常識を飛び越えていくのが映画づくりではあるが
ここまで何もかも飛び越えてもいいものだろうか・・・と思ったこと。

そう語るキャストたちの楽しそうなこと。

そうだ、この作品は、みんなで必死になって遊んだ作品だ。
遊び半分に作った映画ではない。
必死に遊んだ映画なのだ。
「映画なんて所詮オモチャ」というのが若松監督の口癖だ。
理屈なんかすっ飛ばして、自分の五感をフル回転させて
いろんな妄想を膨らませて、その手触りを実際の映像に表現していく。
ただ、それだけのこと。
だからこそ、みんな四苦八苦して、監督の妄想にくっついていく。
監督の頭の中の手触りを知ろうと奔走する。

そうして出来上がった作品だ。
そうしなければ作れなかった作品だ。
そして、そんな風にキャストやスタッフを巻き込んで
音楽のジム・オルーク氏や原作者の船戸氏をも巻き込んで、
この作品は完成したのだ。

映画とは、なんと贅沢で最高のオモチャだろう、と思う。


ティーチイン終了後、劇場のロビーは
公式ブックをお求めくださるお客様であっという間に長蛇の列が。

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作品の手触りを、もう一度本で味わってみようか、と思ってくださった方、
この公式ブック限定のジム・オルークのサントラCDがお目当ての方、
不思議な作品の目撃者となった記念に買ってくださった方。
それぞれの皆さまに、心からの感謝を・・・。

そして劇場にお越し下さった皆さま、本当にありがとうございました。

今回を逃した方、ぜひ、3月24日から、テアトル新宿、横浜ジャック&ベティ
その他、全国各地の上映劇場に足をお運びくださいませ!

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