「千年の愉楽」がベネチア国際映画祭のオリゾンティ部門に正式招待されました。
若松孝二監督にコメントをいただきました。
「僕が、初めて海外の映画祭に呼ばれて行ったのは
1965年のベルリン国際映画祭『壁の中の秘事』でした。
あのときは、生まれて初めてタキシードを借りて緊張して
世界の舞台へと乗り込んでいった。
そうしたら、日本のマスコミやインテリからは
「国辱映画だ」と散々叩かれました。
国辱で結構、泥の中に咲く一輪の花だってあるんだ。
私は私の映画にその確信を持って、50年以上映画を撮り続けてきました。
4年前にベルリンで「実録・連合赤軍」が、
そして2年前に再びベルリンで「キャタピラー」が
そして今年はカンヌで「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」が
正式上映してもらえた。
その同じ年に、「千年の愉楽」にベネチアからの招待状が届いた。
わずか4年間で世界三大映画祭に呼んでもらえたことは
僕の中で、小さな誇りになっています。
映画祭に呼んで欲しさに映画を創っているわけじゃありません。
国内や海外に、たくさんのお客さんたちがいて、
僕の作品を楽しみにしてくれている。
その人たちのためにも、面白い作品を作り続けていきたい。
そして、僕のような、独立プロで自分で作品を作り続けてきた人間にとって
海外の映画祭で正式上映してもらうことが、
より多くの人に僕の作品を観てもらえる、最大のチャンスなんです。
作品は、観てくれる人がいて、初めて完成する。
観てくれる人がいて、初めて成立するんです。
昨年、溢れる気持ちのままに作り上げた「千年の愉楽」が
今、僕の手から離れて、ベネチアという素晴らしい舞台で
よちよち歩きを始めようとしている。
その事を、本当に嬉しく、ありがたい事だと思ってます」
若松孝二