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満島真之介に報知映画賞新人賞

本日、プリンスパークタワーホテルのコンベンションホールにて
第37回報知映画賞の授賞式が行われた。

「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」で
森田必勝を演じた満島真之介が、新人賞を受賞した。
この喜ばしいニュースが若松プロに飛び込んできた時
監督はすでに、この世にいなかった。

満島真之介は、この作品が映画初出演だった。
ロケの現場では、最初から最後まで、監督に追い込まれ続けていた。
「幼稚園児みたいな芝居をするな!」「役者やめちまえ!」
「なんで、そんなことができないんだよ!もう二度と使わねえぞ!」
「お前のせいで、どれだけ損してると思ってるんだ!」
衣裳を着ていれば「いつまで着ているんだ!」と怒り
衣裳を脱げば「なんで脱いだんだ!」と怒る。
どうしてそこまで……というほど、真之介を追い込んだ。
普段、撮り直しを極力嫌う監督が、何度も何度も真之介にやり直させた。
頭の中を真っ白にさせて、追いつめ続けて、あの森田必勝が生まれたのだ。


新人賞の発表とともに、本編の映像が流れた。
サウナで、三島に決起を促す森田の顔がスクリーンに映し出された。

その後、壇上に立った真之介は、
「久しぶりに、監督が撮った自分の顔を観ました……」
そう話した瞬間、真之介の顔が崩れそうになった。
現場でたたきのめされた時間、完成した作品を持ってともにカンヌへ行った時間。
真之介の頭の中に、監督との膨大な時間が瞬時に甦ったに違いない。
しかし、すぐに気持ちを立て直し、真っ直ぐ前を向き、
現場での監督がいかに怒りに満ちていたか、
そして出来上がった作品と監督への思い、
監督から受け取ったものについて語った。
続いて、お祝いのコメントを述べるべく、
共演者で若松組の先輩である大西信満がマイクを握った。
「今、ここにいる誰よりも、そして真之介のご両親よりも
 誰よりも喜んでいるのは、間違いなく若松監督のはずだ」

この華やかな祝宴の席に、若松孝二の姿がいないことに、
一瞬、途方に暮れる。
しかし、若松孝二の現場で、その檄を浴びた俳優たちが
今、壇上で、きれい事でも美しくまとめた言葉でもなく
ただ剥きだしの感情を、そのまま監督に向けて差し出している姿が
本当に嬉しかった。

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2012年12月18日 18:19に投稿されたエントリーのページです。

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