しんしんと冷える年明けである。
明日、三重県津市の三重総合文化センターにて
「千年の愉楽」が上映される。
本日、中日新聞に遺作先行上映記事が出て
朝から沢山のお問い合わせの電話を頂いた。
気が引き締まる。
監督がいないままで、作品を公開するなどという
そんな事態を誰が予測しただろう。
作家の眼差しを、代弁することは、不可能だ。
ただ、その作品に、若松組に携わった一人一人が
自分が目撃したその現場を語るしかない。
そして何より、作品を楽しみにしてくださる沢山の人が
待っていてくださるという歓び。
いよいよ、産声を上げるときが来た。
前に、監督が、公開前日に言った言葉がよみがえる。
「あの作品は、僕らの子どもだよ。
明日、おぎゃんと産まれるんだよ。
もう、こっちの手を離れてヨチヨチ歩き出す。
そうなったら、作品はもう、見た人一人一人のもの。
こっちはもう、言い訳も何もできないんだよ」
何十本もの作品を産み落として来た監督らしい言葉だった。
監督、最後の子どもが、明日、おぎゃんと産まれますね。
明日の上映は、10時、13時30分、17時の三回。
各回とも、上映終了後に、高良健吾、高岡蒼佑、佐野史郎、井浦新が
トークイベントに登壇する。
若松孝二の遺作を、お客様と共有すべく。